Weekly Newsletter #223
Anthropic、生成AI需要で年間収益30億ドルに急成長/Netflix創業者リード・ヘイスティングス氏、AI企業Anthropicの取締役に就任/ データ活用AIインフラ企業Chalkが約50億円を調達、リアルタイム分析で台頭
ヨセミテ国立公園(グレーシャーポイントより)※筆者撮影
おはようございます!
あっという間に 6 月。あと 1 か月で今年も半分が過ぎると思うと、ちょっとソワソワしてしまいますね。やり残しがないよう、一つずつ片づけていきたいところです。
さて「近所?の公園シリーズ」第 3 弾――先月は思い切って ヨセミテ国立公園 まで足を伸ばしてきました。正確には“近所”とは言いがたいものの、車で約 3 時間半と気軽に行ける距離です。
シエラネバダ山脈からの雪解け水で、滝は轟音を立てて流れ落ち、残雪をいただく峰々が青空に映える光景はまさに “ダイナミック” の一言。夏休みシーズンにはキャンプ客でにぎわうそうですが、春の終わりの静かなヨセミテも格別でした。
普段はディスプレー越しに仕事をしている分、たまに自然に身を置くと心がほぐれてリフレッシュできますね。まだ夏の計画が決まっていない方は、都会の喧噪を離れて大自然に身をゆだねてみるのもおすすめです。
6 月最初の号、今月も張りきっていきましょう!
それでは今週も、シリコンバレー発の注目ニュースをお届けします。
先週のニュースレターを見逃した方はこちら
Weekly Newsletter #222:Anthropic、新AIモデル「Claude 4」で7時間の自律コーディング実証/OpenAI、元AppleデザインチーフのAI企業「Io」を65億ドルで買収/Microsoft、Azure外部AIモデル拡充とGitHub Copilotエージェントを発表
Weekly Newsletter #221:米インフレ鈍化も消費者心理悪化、関税の不透明感続く / マイクロソフト、AI時代へ6,000人レイオフ—技術職と管理職に影響 / OpenAI、AIコーディング支援「Codex」発表:開発業務を刷新
Anthropic、生成AI需要で年間収益30億ドルに急成長
Photo:O-DAN
🌏今週のニュースのポイントを3行で
生成AI開発スタートアップのAnthropicが年換算で約30億ドルの収益規模に到達
この売上規模は2024年末時点の約10億ドルからわずか5ヶ月で3倍に拡大
特にAIによるコード自動生成サービスの需要が大きく伸長、企業による生成AI活用が本格化
生成AIのスタートアップAnthropic(アンソロピック)は企業向け需要の急増により、年換算で約30億ドルの収益規模に達したと関係者筋の情報としてReutersが報じました 。
2024年末時点では約10億ドルだった売上規模が5ヶ月で3倍に拡大したことになり 、生成AIがビジネス分野で早くも収益を上げ始めている例と言えそうです。
特にAIによる自動コード生成サービスの需要が伸びを牽引しており、企業による生成AI活用が本格化してきたことを示唆する内容となっています 。
Anthropicは2021年にOpenAIから独立した研究者らによって創業され、今年初めの資金調達で評価額が約600億ドルに達しています 。また、自社のAIモデル「Claude(クロード)」をサービスとして企業に提供するSaaS型ビジネスで急成長を遂げており、その売上成長率は過去に例を見ない水準だとベンチャー投資家が指摘しています 。
一方で競合のOpenAI(オープンAI)は2025年の年商が120億ドルを超えるとも伝えられ 、推定評価額は現在約3000億ドルとされるなど 、生成AI市場への投資規模の大きさも際立っています。
Netflix創業者リード・ヘイスティングス氏、AI企業Anthropicの取締役に就任
🌏今週のニュースのポイントを3行で
Netflix 共同創業者リード・ヘイスティングス氏が生成 AI 大手 Anthropic の取締役に
ストリーミング界の重鎮が急成長スタートアップの経営・ガバナンスを支援
安全性と事業拡大の両立へ、経験値とネットワークをフル活用
ChatGPT対抗馬として注目される生成AI企業Anthropic社が、Netflixの元CEOで共同創業者でもあるリード・ヘイスティングス氏を取締役に迎え入れました 。
ヘイスティングス氏はNetflixを25年間率いた後、現在はBloomberg社など複数企業の取締役も務める業界の重鎮です 。
同氏は「Anthropicは人類へのAI恩恵に楽観的である一方、その経済的・社会的・安全面の課題にも十分配慮している」と評価し、同社のアプローチに共感して参画を決めたようです 。今後は取締役として、急成長するAnthropic社が安全性と社会的影響に配慮しつつ事業拡大していく手助けをする考えとのことです 。
ちなみにヘイスティングス氏は最近、自身の母校である米Bowdoin大学に5,000万ドルを寄付し、AIが仕事や教育、人間関係に及ぼす影響を研究する「AIと人類」イニシアチブを創設するなど 、AI分野への関心と社会貢献にも積極的なようです。
データ活用AIインフラ企業Chalkが約50億円を調達、リアルタイム分析で台頭
🌏今週のニュースのポイントを3行で
データ即時活用プラットフォーム Chalk がシリーズ A 調達で評価額 5 億ドルに
バッチ処理不要、社内データを秒単位で AI 推論へ流し込む基盤が強み
Databricks/Snowflake に挑む“即応型”プレーヤーとして存在感を拡大
AIインフラ系スタートアップChalk社が5月末にシリーズAで5,000万ドルを調達し、評価額は5億ドルに達しました 。同社は企業の様々なプロプライエタリ(独自)データを機械学習モデルに素早く取り込むプラットフォームを提供しており、これにより企業は最新データに基づくリアルタイムな意思決定が可能になります 。
例えばフィンテック企業MoneyLionでは不正検知やローン審査に、ソーラー大手Sunrunでは屋根への最適な太陽光パネル配置の判断にChalkを活用しているとのことです 。Chalkのマーク・フリードフィネガンCEOいわく、従来はバッチ処理が主流だった企業のデータ活用もリアルタイム対応への需要が高まっているといいます 。
同社のサービスは企業内のデータを即時にAIモデルへ反映できる点で差別化されており、データ分析基盤の巨頭であるDatabricks社やSnowflake社と競合する領域ですが、より即応的な処理を強みに台頭を狙います 。昨年末にはDatabricks社が過去最大級の100億ドル資金調達を行うなど 、企業向けAI基盤市場は巨額投資が相次ぐ熱い分野となっており、Chalkの今後の成長も期待されるところです。
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