Weekly Newsletter #225
Meta、データラベリング企業Scale AIに約2兆円出資 /Google Cloud障害でネットに大規模影響/ 営業支援スタートアップClay、評価額約4200億円で資金調達
近所の駐車場にて※筆者撮影
皆さん、おはようございます。
カリフォルニアは初夏本番。湿度の少ないカラッとした空気の下、街路樹の ジャカランダ が咲き始めました。中南米原産のジャカランダは、西アフリカの火炎木(カエンボク)、マダガスカルの鳳凰木(ホウオウボク)と並ぶ“世界三大花木”の一つだそうです。ラベンダー色の花が青空に映える光景を見るたび、ベイエリアで迎える二度目の 6 月を実感します。
今週は Data + AI Summit(DAIS) と Cisco Live が立て続けに開催され、日本からも多くの方が来訪されました。会場では数々の新機能・新サービスの発表も行われ、大いに盛り上がっていたようです。
また、当社 NetOne USA はサンタクララの新オフィスで本格稼働を開始しました。Juniper や Palo Alto Networks など近隣ベンダーへのアクセスも良く、打ち合わせ後にそのまま立ち寄っていただくのに便利な立地です。
6 月のベイエリアは爽やかな陽気が続きます。出張やカンファレンスでこちらにお越しの際は、新オフィスにもぜひお立ち寄りください!
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Meta、データラベリング企業Scale AIに約2兆円出資
Photo:O-DAN
🌏今週のニュースのポイントを3行で
MetaがAI開発加速のためデータラベリング企業に巨額出資
Scale AIの若きCEOがMetaに移籍へ
規制審査を回避も、競合企業が反発
Meta社は、自社AI戦略強化の一環としてデータラベリング大手のスタートアップScale AIに約148億ドル(約2兆円)の巨額出資を行い、同社株式の49%を取得しました 。
この出資に伴い、Scale AIの共同創業者兼CEOアレクサンダー・ワン氏(28歳)がCEO職を退任してMetaに移籍し、MetaのAI部門で「汎用人工知能(スーパーインテリジェンス)」開発に従事すると発表されています 。
Scale AIは引き続き独立した事業体として運営され、ワン氏も取締役としてScale AIに関与を続ける予定とのことです 。
今回の出資はMeta史上2番目の規模とも報じられる大型投資で 、直接買収ではなく49%の株式を取得する形態のため米独占禁止当局の事前審査を回避できる構造になっているとのこと 。
この「抜け道」的手法には規制当局からの懸念も指摘されており 、上院議員エリザベス・ウォーレン氏などは本件の精査を求めており、新たな論争を生んでいます。
また、この提携発表を受けてAlphabet (Google) はScale AIとの取引停止を決定するなど競合他社の警戒も強まっている一方で、OpenAIやMicrosoftなど他の大手AI研究企業は引き続きScale AIとの協業継続を表明しており 、今回の巨額出資は、生成 AI の主導権をめぐる各社の思惑を一段と際立たせたと言えそうです。
Google Cloud障害でネットに大規模影響
🌏今週のニュースのポイントを3行で
6月12日、Googleのクラウドサービスで大規模障害
Cloudflare経由で主要アプリが次々ダウン
約2時間で復旧、他クラウドには波及せず
こういった話を聞くと、我々の関係しているネットワークじゃなくて良かった・・なんて思ってしまうのですが、今週木曜日(6/12)午前、Google Cloudが大規模なサービス障害に見舞われ、インターネット上の広範なサービスが一斉ダウンしたようです 。
Cloudflareでエラーが発生し、連鎖的にSpotifyやDiscord、Snapchatといった主要アプリがアクセス不能となったようです。クラウド上のAI開発環境Replitやコーディング支援ツールCursorなども同様に停止が報告され 、全米で数百万人規模のユーザーに影響が及んだ模様です。
Google社は発生から約2時間後に問題の緩和策を適用し、順次サービスを復旧させました 。Cloudflare側も「当社サービスの一部がGoogle Cloudの障害で影響を受けたが、コアシステムは無事」と説明し、まもなく正常化したことを明らかにしています 。
今回の障害はGoogle Cloud特有のもので、Amazon Web Services (AWS) や Microsoft Azure には波及しなかったことも確認されています 。平日日中の発生だったため多くの企業やユーザーの業務に支障をきたしましたが、幸い数時間内に復旧し大きな混乱には至らなかったようです 。
営業支援スタートアップClay、評価額約4200億円で資金調達
🌏今週のニュースのポイントを3行で
米Clay社がシリーズCで大型調達
社員持株の評価額が1ヶ月で倍増
AI活用で急成長、顧客にはOpenAIも
営業支援(セールスオートメーション)領域のスタートアップ「Clay」が、推定評価額30億ドル(約4200億円)にてシリーズCの大型資金調達を実施しました 。
リード投資家はAlphabet傘下の成長投資ファンドCapitalGで、このラウンドでClay社は約数億ドル規模の資金を確保したと見られます。
注目すべきは、同社がわずか1ヶ月前(5月)に社員向け株式売却を評価額15億ドルで実施していた点で、今回の調達により企業評価額が倍増した形となります 。
このタイミングで自社株を購入した社員はあっという間に投資額が倍になったということで、なんとも羨ましい話です・・。
昨今の投資環境が厳しい中での高評価調達は異例で、AIブームによる需要拡大への期待感がうかがえます。
Clay社は2017年に創業しましたが、数年前から事業をAIを活用した営業・マーケティング支援にピボットし急成長しています。
同社のプラットフォームは営業担当者が見込み顧客リストを発掘・更新し、個別にパーソナライズした営業メールを自動生成することを可能とするそう 。
現在、OpenAIやHubSpot、Canvaなど数千社に上る顧客がこのツールを利用しており 、伝統的な営業支援ソフトに対するAI時代の新鋭として注目を集めています。
また今回リード投資家となったCapitalG(Google系)に加え、Sequoia CapitalやMeritechなど有力VCも既存株主として名を連ねており、AIスタートアップへの投資熱の高さを改めて示す結果となりました。
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