Weekly Newsletter #227
AIスキルがキャリアの鍵に:ISACA調査が示す未来の働き方/史上最大のデータ流出:160億件のパスワードが晒される脅威/ オークランド空港、名前を変えてイメージ刷新なるか?
Photo:筆者が撮影
皆さん、おはようございます。
近所の公園シリーズの4つ目は、ベイエリアから車で約1時間半の場所にあるピナクルズ国立公園です。ほぼ砂漠の様な場所なので、真夏は暑すぎると聞き、6月滑り込みで予約したのですが、日中は陽射しが痛いほど強く、夕方以降はヒンヤリと涼しくなりました。 ベストシーズンは4月から5月ごろで、その時期には赤茶けた岩山ではなく、緑の丘が一面に広がり、様々な花が咲く光景が見られるそうです。
公園では、岩山の頂上でカリフォルニアコンドルが卵を温めている姿を目撃しました。(見出写真)このカリフォルニアコンドルは絶滅危惧種のレッドリストにも載っており、絶滅寸前の状態から動物園での飼育と放鳥によって、なんとか絶滅を免れている状況にあるそうです。
ピナクルズは、まさにコンドルが生息していそうな岩山のイメージなのですが、上空を悠然と飛び回るコンドルと、独特の火山活動によって隆起した岩山の景色は日本では見られない独特の風景でした。
シリコンバレーというと、最先端のテクノロジーがひしめくサイバーな街…と想像しがちですよね。しかし、見た目上は中国の深圳などの方がよっぽど近未来的な印象で、ベイエリアは延々と続く田舎風景の中にテクノロジーが紛れている、というのもまた面白い発見です。
それでは今週も、そんなシリコンバレーから最新ニュースをお届けします。
先週のニュースレターを見逃した方はこちら
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Weekly Newsletter #225:Meta、データラベリング企業Scale AIに約2兆円出資 /Google Cloud障害でネットに大規模影響/ 営業支援スタートアップClay、評価額約4200億円で資金調達
AIスキルがキャリアの鍵に:ISACA調査が示す未来の働き方
Photo:O-DAN
🌏今週のニュースのポイントを3行で
デジタル専門家の89%が、今後2年でAIスキルが必須と回答
AIの活用は進むも、正式なポリシーや全従業員へのトレーニングは不足
ディープフェイクなどの脅威が増大、AIの責任ある活用が急務
情報システム監査・統制協会(ISACA)が6月25日に発表した「2025年AIパルス調査」によると、デジタル分野のプロフェッショナルの約9割(89%)が、「今後2年以内にAIスキルや知識の強化がキャリア維持や成長に不可欠」と考えていることが明らかになりました。AIは今や、コンテンツ生成(52%)、業務効率化(51%)、ルーティン作業の自動化(40%)、ビッグデータ解析(38%)、そしてカスタマーサポート(33%)など、幅広いシーンで存在感を増しています。
ところが、実際の現場を見ると、まだまだ課題だらけの状況。AIに関する正式なポリシーを持つ企業は全体の28%、全従業員にAIトレーニングを提供している企業はわずか22%。この“使ってはいるけど管理は甘い”というギャップは、AIの恩恵を十分に活かせないばかりか、リスクを高める要因にもなりかねません。皆さんの組織ではいかがでしょうか? 私の組織も含めて、リスクを恐れて足踏みしていては乗り遅れるぞ!と利活用が先行するのは致し方ないような気もします…。
なんて言っていると、そんな呑気なこと言ってる場合じゃない!と怒られるかもしれませんね。そんな中で特に懸念されているのが「ディープフェイク」。66%の回答者が「今後1年で攻撃がより巧妙かつ広範になる」と見ているのに、対応ツールへの投資を進めている企業は21%しかありません。
ISACAの理事ジェイソン・ラウ氏は、「企業はAIを安全に活用するためにも、継続的な学習文化を根付かせ、ポリシー整備とトレーニングに本腰を入れるべき」と語っています。AI導入は単なるITツールの更新ではなく、組織文化や人材育成のアップデートに大きく関わります。これからの企業競争に勝ち残るには、AIを“使えるだけ”でなく“責任を持って活用できる”スキルと仕組み作りが求められてきそうです。
史上最大のデータ流出:160億件のパスワードが晒される脅威
Photo:O-DAN
🌏今週のニュースのポイントを3行で
160億件超のログイン情報が流出、過去最大級のデータ侵害が発覚
マルウェア「インフォスティーラー」が情報を集約、多層防御が必須に
サイバー脅威は地政学と連動、企業は国際情勢にも注意が必要
2025年6月、サイバーセキュリティ業界に衝撃が走りました。SWK Technologiesのレポートによると、なんと160億件を超えるログイン情報がオンラインでアクセス可能な状態になっていることが判明した様です。この数字だと私の情報も漏れなく含まれていそうですね・・。
というのもGoogle、Apple、IBM、Facebookなど、名だたるプラットフォームの情報も含まれているということですから、どれも使ってないという人はほとんど居ないですよね 。
今回の情報流出は、単発の攻撃ではなく、「インフォスティーラー」と呼ばれるマルウェアが時間をかけて少しずつ情報を抜き取っていたと見られています。
もはや「IDとパスワード」だけで守れる時代ではないことを、改めて思い知らされる出来事です。
加えて、米国国土安全保障省は、イランとの緊張が高まる中でサイバー攻撃のリスクが増していると警告しています。ロシアも民間企業を巻き込んだ“ハイブリッド型”のサイバー戦を展開中。
こうした国際情勢の変化にも目を向ける必要があります。もはやサイバーセキュリティはIT部門だけの課題ではなく、経営や国家戦略に関わる重大なリスクと捉えるべきタイミングに来ているのかもしれません。
オークランド空港、名前を変えてイメージ刷新なるか?
Photo:O-DAN
🌏今週のニュースのポイントを3行で
オークランド国際空港が「オークランド・サンフランシスコ・ベイ空港」に改称
「オークランド・ファースト」を掲げ、地域アイデンティティと経済的ハブを強調
この名称変更で利用客の増加を狙う
色々な意味で日本でも耳にする機会の多い“オークランド”。最近では、MLBのアスレチックスが本拠地をラスベガスへ移転し、「オークランド」の冠が外れるなど、少し寂しい話題や、治安の悪化といったネガティブな報道が目立っていました。
そんな中、少しでも地域のイメージを刷新しようという試みのひとつとして、6月27日、オークランド国際空港(OAK)が新たに「オークランド・サンフランシスコ・ベイ空港(Oakland-San Francisco Bay Oakland Airport)」という名称へと変更されました。
この名称変更には、「オークランド・ファースト」という地元重視の姿勢を強調し、サンフランシスコに依存しない独立した経済拠点としてのプレゼンスを高めたいという狙いがあるそうです。ただし今回の変更は、実は今年2度目。最初は「サンフランシスコ・ベイ・オークランド空港」として発表されましたが、これに対しサンフランシスコ市が商標侵害で提訴。それを受け、今回のようなやや“折衷案”とも言える名称に再変更されたとのこと。
新名称では、地理的な位置関係のわかりやすさと、SFO(サンフランシスコ国際空港)との差別化の両立を図っているようです。航空会社の誘致やビジネス利用促進も見込んでいるとのことですが、「名前で混乱しない?」という声もちらほら。皆さんは、新たな「オークランド・サンフランシスコ・ベイ空港」、一度利用してみたいと思いますか? ご利用の際は、どうかお間違えのないようご注意を!
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