Weekly Newsletter #238
ロボットの「耳」で安全性向上、3D超音波センサー / AIヒューマノイド企業Figureが企業価値4兆円に / 医療77,000人スト目前、カイザー・パーマネンテ職員が続々決起
こんにちは、Marvinです。こちら米国で日々のニュースを眺めていると、政治もビジネスも相変わらず話題に事欠きません。その中でもトランプ政権のニュースは日本においても日々流れているのではないでしょうか。即断即決のタクトは敵を作ることも多く、最新の集計では、政権を相手取った訴訟がなんと400件を超え、そのうち350件がまだ進行中といいます。
Trump Administration Litigation Tracker
Litigation Tracker: Legal Challenges to Trump Administration Actions
数字だけで見れば、『法廷でもフル回転』といった様相ですが、一方で大統領個人に向けられていた刑事事件のいくつかは却下や免除で風向きが変わりつつあるようです。
アメリカらしいスピード感とダイナミズムが交錯するこの状況、秋の景色と同じくめまぐるしく色を変えていくのを感じます。
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ロボットの「耳」で安全性向上、3D超音波センサー
ノルウェーのSonair社がロボット用3D超音波センサー「ADAR」を開発
カメラやLiDARを補完し、音波で周囲を立体把握する技術で死角検知を強化
コスト面でもLiDARより優位と主張、産業安全用途でも引き合い多数
ロボットの「耳」に相当する3D超音波センサー技術が登場しました。ノルウェーのスタートアップSonair社は、高周波音を発して反響を捉えるADAR(音響検知と測距)センサーを開発し、ロボットの安全性能向上を目指しています。従来のロボットはカメラやLiDAR(レーザーレーダー)で環境を認識しますが、光学センサーでは検知が難しい物体や死角が存在しました。Sonairのセンサーは音波の反響による三次元認識により、そうした検知漏れを補完します。
Sonair built its 3D ultrasonic sensor with robotic safety in mind
「レーザーポインターを掃くように空間を測るLiDARに対し、我々の超音波は部屋全体に音を満たして一度に広範囲を捉えられる」と、共同創業者のクヌート・サンドヴェンCEOは語ります。Sonair製センサーは既存のロボット制御システムに統合可能で、今年初めの製品化以降、複数の企業が次期ロボット機種への採用を計画中のようです。また工場などの作業員立入検知システムとしても注目されており、人が危険エリアに入ると機械を自動停止する等の安全対策ソリューションとして期待されているようです。
AIヒューマノイド企業Figureが企業価値4兆円に
米Figure社が人型ロボットの開発資金として約1,400億円を調達
調達後の評価額は約4兆3,000億円となり、前年の評価額約3,900億円から急上昇
NVIDIAやインテルなど多数の大手企業が出資し、ヒューマノイド開発競争が加速
最新の資金調達ラウンドで、米AIロボット企業Figureが10億ドル(約1,400億円)以上の資金を確保し、企業評価額を約390億ドル(約4兆3,000億円)に急上昇させました。
Robotics startup Figure valued at $39 billion in latest funding round
このシリーズCラウンドにはNVIDIAやインテルをはじめLG、Salesforce、T-Mobileなどの投資部門が参加。前年の評価額26億ドルから一気に跳ね上がった背景には、少子高齢化による労働力不足やAI技術の進歩への期待が挙げられます。Figure社は調達した資金でヒューマノイドロボットの家庭・商業利用へのスケール展開、AIプラットフォーム「Helix」の拡充、製造体制の強化を図るとしています。PitchBookの調査によれば、世界のロボット関連企業への投資額は2025年上半期に前年同期比75.6%増と過去最高水準に迫り、AI搭載ヒューマノイドへの注目が一段と高まっています。
医療77,000人スト目前、カイザー・パーマネンテ職員が続々決起
米大手医療グループの労働者約7.5万人が契約失効後の10月からスト権行使へ
オレゴン州など看護師ら4,000人が賛成率97%でスト承認、全国6州で順次投票
人手不足改善や賃上げが焦点、組合側「期限内の公正な合意を」と呼びかけ
アメリカの医療現場で、過去最大級のストライキが迫っています。全米で約85万人の会員を抱える非営利医療グループカイザー・パーマネンテの病院やクリニックで働く看護師・技師・セラピスト等約75,000人が、現行労使契約の期限が切れる9月30日以降にストライキも辞さない構えを示しています。
Kaiser Permanente workers vote 97% in favor of potential strike in Oregon, Southwest Washington
実際、オレゴン州とワシントン州では9月20日までに4,000人規模の組合が97%の圧倒的多数でストライキ権を承認しました。これは全国組織の医療労組連合(Alliance of Health Care Unions)が進める統一行動の一環で、カリフォルニア州など他州でも合計46,000人以上が同様の投票でスト準備に入っています。組合側の主張は、慢性的な人手不足の解消や物価高に見合う賃上げ、労働環境改善など。カイザー側は4年間で20%の昇給案を提示しつつ「ストは避けたい」とコメントしていますが、双方の溝は埋まっていません。労組代表は「期限内に公正な合意に至るよう最後まで交渉する」としつつ、万一決裂すれば全米で同時多発的な大規模ストに突入する可能性が高まっています。
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