今週末にオバマ元大統領が60歳の誕生日パーティーを開催することが報道されていました。デルタ株の蔓延を助長するのではないかと批判があり、家族と親しい友人だけでの開催になったという。
ここでもう一つ話題になったのは、パーティーには肉を使わないメニューが選ばれているということだ。Impossible Foodsの植物ベースの肉やEat Justの植物ベースの卵などが使用されるらしい。Impossible Foodsのフェイクミートは、米国では今やどこのスーパーでも普通に売られているほど普及している。Eat Justの卵は、まだ試したことはないが、ボトルに入った黄色い液体をフライパンに流し込めばスクランブルエッグが出来上がるというような代物だ。
さて、植物ベースの肉がここまで注目されるのは、家畜を育てる際の環境破壊の問題が大きい。広大な土地、水、餌となる穀物などが長い生育期間ずっと必要となり、ゲップや排泄物によるメタンガスはオゾン層を破壊する。また、動物を殺すということもなく、生産者は過酷な重労働からも解放される。
さらに、次世代の肉は、原料となる植物さえ不要で、本物の肉そのものの「細胞培養肉」になると言われる。この培養肉の分野へベンチャー投資が拡大し続けているというレポートをここで紹介したい。培養肉分野は、2020年に前年の2倍の3億5,000万ドル投資されたが、2021年は半年で既に2億5,000万ドルの資金が流入している。2015年に5社だった培養肉のベンチャー企業は、2020年には40社にも増加しています。シンガポールでは細胞培養の鶏肉の製造と販売が認可され、米国でも規制当局の認可を待つ企業が複数存在しています。
ただし、培養肉の大量生産にはまだ課題も多いようです。細胞を培養するには、ある程度の運動(筋組織の活性化)や栄養素が必要で、技術とコストの課題が残っている。細胞を増殖させる栄養素には少量の牛胎児血清が必須で、牛の胎児から抽出される血清は動物の屠殺の副産物であり、これを代替するものを開発しない限り、根本的に動物を殺さない代替食肉にはならないということを意味します。この大きな課題解決には数年掛かると思われますが、昨今のバイオテックの進化は、早期に大きな変革をもたらしてくれるかもしれません。環境や健康、動物にも優しくて美味しいお肉が、食卓を飾る日はそう遠くないことを期待したいと思います。
急成長中のテック系ベンチャーキャピタルのトップ10リスト
米国VC企業は、今年すでに740億ドルの資金を調達し、過去最高だった昨年の810億ドルを上回るペースで推移している。パンデミックにて被害を受けた不動産投資などと比べて、ハイテク株が好調であることなどからVC投資に興味を持つ投資家が増加している事を象徴しているようだ。
1位のSoftbankは、2017年頃から1,000億ドル規模のVision Fundで、過去最高のバリュエーションで旧来の投資家たちに大きな影響を与えた。一連の投資案件の失敗もあったが、現在もVC業界での影響力は否定できない。Vision Fund 2では、今年に入って投資額を300億ドル規模に拡大しています。
もう一つ大きな影響を与えているのは、Tiger Global Managementです。ヘッジファンドからベンチャーキャピタルに転身した企業で、2018年から142億ドルを調達。投資スピードは1日に1.3件以上と言われ、相手が望んでいなくとも投資を促すほどだ。
同じくヘッジファンドからVCへ転身したCoatue Managementは、データサイエンスの能力をアピールして、アーリーとレイトステージの両方に資金を投入している。
2位のInsight Partnersは、今年すでに119件の取引に参加し、ニューヨークを拠点とする米国で最も活発なVCの1つとなっている。
IntelやNVIDIAらと共同開発DPUのVMware「Project Monterey」がアーリーアクセスを開始
VMwareが開発した分散型コンピュートアクセラレーションのためのマネジメントプレーン「Project Monterey」が、アーリーアクセスプログラムを開始。約3年に渡って開発が進められてきた本プロジェクトは、Intel、NVIDIA、Pensandoが提供するDPU(データ処理ユニット)= SmaerNIC を使用して、複数のハードウェアリソースを効率的に繋いで、分散コンピューティング環境を実現します。
NVIDIAは2026年までにDPUを支配すると予測(Weekly newsletter #26)
国防総省はAIにより敵の行動を数日前に予測する
米国防総省は、最先端のデータ収集ツールとAIを組み合わせて、敵の次の動きを数日前までに予測するという。GIDE(グローバル情報優位実験:Global Information Dominance Experiment)と呼ばれ、衛星画像、インテリジェンスレポート、海底センサー、レーダーなどの様々な情報ソースを組み合わせて重要な戦略的意思決定を行う。パナマ運河などの重要な場所を占拠するシミュレーション実験では、世界各地に設置された軍用・民間用の様々なセンサーからデータを収集し、AIモデルからパターンを検出し、潜水艦が出港の準備をしているなどの兆候を見つけて警告を発するという。事前に敵の動きを予測できることで、紛争の抑止力を高められるが、あくまでも最終的な意思決定は人間が下すという。
Starlinkはもうブロードバンドとほぼ同じ速さに達している
SpaceXのStarlinkは、12カ国で9万人のベータユーザーに衛星インターネットサービスを提供している。Starlinkの通信速度テストの結果、旧来の衛星インターネットサービスでは実現しえない固定ブロードバンドとほぼ同じスピードを実現していることを示した。ダウンロード速度の中央値は97.23Mbps、アップロード速度が13.89Mbpsですが、レイテンシーは45msと固定ブロードバンドの14msとはまだ開きがある。
Starlinkは、現在約1,730基の低軌道(LEO)衛星を打ち上げているが、今後の第2世代の衛星により、この遅延を解消していくという。これから打ち上げテストが予定されるスターシップでは、400基の衛星を1回で運ぶことが可能になり、その日も近い。
衛星コンステレーションによる次世代インターネットサービス(Tech Blog #24)
Squareは「BNPL」の大手Afterpayを290億ドルで買収
Squareは、オーストラリアのBNPL(Buy Now, Pay Later:今購入して後で支払う)の大手Afterpayを290億ドルで買収すると発表。BNPL市場は、今若い世代を中心に爆発的に普及しており、クレジットカードとは異なり、分割払いをしても利用者は利息を払う必要はありません。Afterpayの収入は、店舗側の手数料(4−6%)と購入毎の課金(30セント)で成り立っている。利用者が分割払い期間内に返済を怠った場合には延滞金が請求されますが、支払いを滞ることがなければ利息が発生しないため、収入の少ない若者に人気があるのもうなづけます。
最近、AppleもBNPL市場に参入すると報道がありました。今後ますます小売りの決済ビジネスには注目です。
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