Weekly newsletter #44
米国でもデルタ株の感染拡大が続いており、今週に入ってニューヨーク市とサンフランシスコ市では、レストランの屋内飲食やバー、ジム、映画館などに入る際に「ワクチン接種証明」の提示が義務付けられるようになりました。また、そこで働く従業員にもワクチン接種が義務付けられます。現在ワクチン証明書は、ワクチン接種時に受け取るCDC発行の紙のカードや、州や自治体のWebサイトや専用アプリから入手できるQRコード付きの証明書など複数存在します。紙のカードは財布にちょうど収まるサイズでもないし、QRコードも毎回オンラインにアクセスする必要があるから、スマホで画面のスクリーンショットを保存して持ち歩くという状況です。証明書の提示は、あくまでもワクチン接種率を上げることと、経済再開をより安全に維持し続けることが目的であり、紙のカードの写真や海外で発行された証明書でも受け入れられるとのことです。
それでも、ワクチン証明書の携帯の必要性が拡大すれば、より簡単にワクチン証明書を携帯できてすぐに取り出せることが求められます。Google、Apple、サムスンは、デジタル証明書をスマホのデジタルウォレットに保存して、すぐに呼び出せる機能を提供することを発表してます。Googleは、6月末からAndroid用のPassesAPIを提供しており、これを使った政府や自治体などのデジタル証明書をスマホのホーム画面のショートカットから簡単にアクセスできるようになりました。Appleは、秋頃にリリース予定のiOS15で、同様の機能を提供する計画です。サムスンのGalaxyでは、Commons Projectと提携して、CommonsPass機能がSamsung Payに追加された。Commons Projectとは、世界経済フォーラムとロックフェラー財団が支援する非営利組織として運営され、国境を越えて世界中でワクチンパスポートとして利用してもらうことを目指しているようですが、なんだかまた陰謀論者が喜びそうなバックグラウンドである。プライバシー擁護者やワクチン反対論者も、ワクチン証明書には反対するでしょうが、既に2回のワクチン接種後8ヶ月経過していれば3回目の接種も推奨された米国では、継続的な接種状況を記録し、その有効性を証明することは今後も免れないのではないでしょうか。いずれにしろ、ワクチン接種者と未接種者との分断や差別が起こらないような世界になることを切に祈ります。
FacebookはリモートコワーキングのためのVR会議アプリを発表
Facebookは「Horizon Workrooms」のオープンベータ版をリリース。VR空間でアバターで会議を行うもので、VRヘッドセット「Oculus Quest2」を使って16名が一緒に参加してコラボレーション作業が可能。PCからビデオ会議で参加できる人を含めると最大50名の会議が可能です。Oculus Quest2を使えば、パススルーカメラで自分の手元の物理的なキーボード入力も可能で、空間オーディオが使われているため、喋っている人の方向から声が聞こえるなど、実際の会議室で体験しているような感覚を再現しています。Quest2より古いヘッドセットは利用できず、Quest2が旧機種よりも多少軽くなったと言っても、まだまだ長時間の装着には重いと感じる状況であるため、デバイスの進化にも期待したいところです。
Twitterが主導する分散型ソーシャルネットワークプロジェクト「bluesky」の責任者が決定
Twitterが資金提供する分散型ソーシャルネットワークの標準規格を策定するプロジェクト「Bluesky」は、Jay Graber氏をプロジェクトリーダーに決定した。彼女は、プライバシーに焦点を当てた暗号通貨Zcashの開発に携わった後、分散SNSのHappeningを立ち上げた人物である。分散型SNSとは、ヘイトスピーチやフェイクニュースなどの問題への対処が一企業や組織に委ねられるのではなく、分散型のオープンプラットフォーム上で運営されることによって、健全性が保たれていくことを目指しているようだ。短期的な実現は難しいと思われるが、非中央集権的な考え方や在り方は、確実に進行していると感じる。
TikTokがブロックチェーンベースの分散型音楽サービス「Audius」と提携
TikTokは、ブロックチェーンベースの分散型音楽ストリーミングサービスのAudiusと提携。Audiusは、TikTokに楽曲を簡単に転送できるSound Kit機能を提供し、楽曲を投稿したアーティストは、TikTokの多くのユーザーにアピールできるになる。
Audiusの分散型サービスは、EthereumベースのAUDIOトークンによって運営されており、ユーザーはガバナンスの決定に参加したり、ネットワークの安全性を確保するための報酬を得る。アーティストは楽曲提供への報酬や著作権や真偽性を確保することができる。TikTok側の提携目的が、ブロックチェーン技術に関するものかどうかは不明だが、誰もがクリエイターとなって動画や音楽を配信して収益化ができるプラットフォームに人気が集まっているのは確かで、クリエイターエコノミーの更なる成長には、ブロックチェーン技術が欠かせいものになってくるのではないでしょうか。
「Tesla Bot」は人型のオートパイロットシステムです
Teslaは、AIに特化した自社イベント「AI Day」にて、人型ロボット「Tesla Bot」を開発していると発表した。実物の公開とはならなかったが、自動車に搭載されているオートパイロットシステムが採用されており、これまで培ってきた自動運転技術を強調した。しかし、ちょうど米運輸省は、Teslaのオートパイロットシステムによる衝突事故の過去11件を正式に調査することにした。ほとんどの事故は暗くなってから発生しており、システムの性能や欠陥が疑われている状態だ。FSD(完全自動運転)の実現が何年も遅れていることも含めて、Tesla Botが来年に登場するというのは難しいだろうと考える人も多いようだが、これまでも数々の偉業を達成してきたElon Maskに大いに期待したい。
Teslaは「Dojo」スーパコンピューターの詳細と「D1チップ」「トレーニングタイル」を公開
AI Day では人型ロボットが話題をさらったが、最も注目すべきはAIトレーニング用に開発されたスパコン「Dojo」やカスタムチップ「D1チップ」の詳細が明らかにされたことでしょう。6月に世界で5位相当の性能を持つと称したスーパーコンピュータには、NVIDIAのGPUクラスタが使用されていたが、新たなDojoでは自社設計したD1チップで構成されている。D1チップは、CPUレベルの柔軟性とGPUレベルの性能を備えていると言う。D1チップを25個搭載したトレーニングタイルが6枚×2個づつ搭載されたキャビネットを10個 接続して「ExaPOD 」と呼ぶ高帯域幅を持つ巨大な機械学習マシンを構成する。Teslaの自動運転を実現するには、8台の車載カメラの大量の映像情報を高速に処理できる性能が求められるが、さらに性能を10倍に向上させる次世代の計画もあると言う。
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