Weekly newsletter #52
今週の月曜日はコロンブスデーでしたので、アメリカでは貴重な3連休でした。このコロンブスデーはアメリカ大陸発見を記念したもので、10つある連邦祝日(federal holidays)の1つなのですが、アメリカの祝日は若干難しく、州や行政区・企業により、休日にしたりしなかったりと対応が異なります。また、コロンブスはネイティブアメリカンの方々からすると侵略者とも言えるので、この日を「Native American Day(先住民の日)」と置き換える州や自治体もあります。ちなみに、以前にご紹介したUCLAのあるバークレーが、このNative American Dayの先駆けなんだそうです。1つの物事に対して、州や地域毎に異なる捉え方をするのは、なんともアメリカが「合衆国」なんだなと実感します。
娘の学校も休みだったので旅行に行ったのですが、週一で通う日本語学校は開校していている事に当日気付き、妻は慌ててお休みの連絡をしていましたw
Facebook - 規制当局へのアルゴリズム開示意向を表明
先週にご紹介したFacebookのアルゴリズム(問題)についての続報です。若い女性を追い込んでいると批判される同社のアルゴリズムですが、Facebook VPのグレックさんがCNNの番組に出演し、「意図したように機能しており、ユーザーに害を与えていない」ことを確認するためにアルゴリズムを規制当局に開示してもよい、と発言されました。同氏は「ある種のスパムフィルターのように動いてもいるので、このアルゴリズムが無いと、ユーザーはより多くのヘイトスピーチを見る事となる。テクノロジーにはマイナスな面もあるが大きなプラス効果もあるので、それを忘れてはならない。」とも発言されていました。また、ユーザー投稿コンテンツにはプラットフォーム側は責任を負わないとする通信品位法230条;Section 230についても言及され、Facebookのようなプラットフォーマーが自身のシステムとポリシーを意図したように適用する事を前提にSection 230による保護を制限してもいい、と表明されていました。(参考:Section 230とは? - インターネットを作った26文字)
Facebookの自社テクノロジーへの絶大なる自信を感じます。
Google Cloud Platform - クラウド利用によるCO2排出量が把握可能になるツールをリリース
GoogleのCloud Computing部門が、ユーザーがGoogle Cloudプラットフォームの利用に伴う温室効果ガス排出量を確認できるツールを発表しました。Googleは地球環境を考えた取り組みを加速しており、先週に発表されたGoogle Mapのエコルート検索に続く機能とも言えそうです。この機能はSalesforceのSustainability cloudと連携も可能との事でして、見え難かったクラウド上での排出量の見える化により、一般企業のITでのSustainabilityへの熱が更に高まるものと思われます。また、「Google Earth Engine」の提供をも発表しており、これにより企業は「異常気象や人間の営みによる地球表面の変化を、追跡・監視・予測出来るようになる」との事です。
Googleは2007年時点で既にカーボンニュートラルを達成しており世界で最もクリーンなComputingシステムである、と謳っていてブランディングな要素も感じますが、プラットフォーマーが持つデータを開示してもらうことで地球環境を少しでも良く出来るのであれば、これは素晴らしいですよね。
Microsoft - 政府や法執行機関との契約時における人権審査に同意
マイクロソフトが政府や法執行機関との取引時に、第3者からの人権審査を受ける事に同意しました。MS社は警察や移民局などの政府機関との契約において、同社サービスが黒人・先住民コミュニティへの人権影響の有無を調べる事を約束していました。このような経緯もあり、6月には「MS社が人権に関連する声明や方針をどれだけ守っているかを自己評価して欲しい」という株主提案を受けており、今回の人権審査への同意は、このような背景によるもののようです。
また、米軍向けの「HoloLens(VRヘッドセット)」提供契約に対し、一部のMS従業員が政府や軍・警察による監視に繋がる事を懸念し契約放棄を求める動きもあり、MS社は同種の難しい判断を迫られています。CEOのナデラさんは米軍への販売は支持していますが、警察への顔認識技術の販売は、今も一時停止しています。
テクノロジーと人権・ダイバーシティはなかなか難しいテーマではありますが、このように会社として取り組むMS社の事例は、我々の社会にプラスに働くのではないでしょうか。
Netflix CEO、トランスジェンダーへのジョークをしたコメディアンを擁護
ダイバーシティの話題をもう1つ。Netflixの共同CEOが、トランスジェンダーに関するジョークで批判を浴びているコメディアンのデイヴ・シャペルを「芸術上の自由」と擁護しました。Netflixで放映された番組でトランスジェンダーへの差別的とも言えるジョークがあり、内外で批判が高まっていました。CEOは「憎しみや暴力を誘発するタイトルは許可していない。そして、この番組がその一線を超えたとは考えていない。特にスタンダップコメディは、その芸術性から、我々が社内で持つ言論基準とは異なるはずだ。」と表明されたようです。
アメリカのスタンダップコメディは確かに異質なところがあるように感じまして、Saturday Night Liveでデイヴ・シャペルがタバコを吸いながらKKKをネタにしたジョークを見た時は、ちょっと衝撃でした。このNetflixの対応が吉と出るか凶とでるか、注目です。
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