Weekly newsletter #45
娘の学校のIn-Person Class(対面授業)が再開してから10日程経ちました。昨年はZoomのバーチャル授業だった事もあり、ようやく友達と直に会えるようになった今、娘はとても楽しそうです。コロナへの対応としては、登校前にオンラインでの健康状態報告が義務付けられたり、学校敷地内では屋内・屋外に関わらずマスクが義務付けられたりと、幾つかの守るべきプロトコルがあります。ワクチン接種の進んだベイエリアでは、最近では外ではマスクをせずにスーパー等の屋内に入るタイミングでマスクを付ける、このような人が多いのですが、学校周辺の数ブロックは屋外であってもマスクを付ける、そんな暗黙のルールもあったります。正にコミュニティー全体でコロナに立ち向かっているのですが、それでも親としては正直不安なところもありまして、(実際、10日間の間に2件の陽性が報告されました。学校からメールで通知が来たのですが、正直、ヒヤリとしました。)、まだまだポストコロナとは言い難い状況です。
米FDAがファイザー社のコロナワクチンを正式承認
今週の大きなニュースは何と言ってもこのニュース、「FDAによるファイザー製ワクチンの正式承認」でしょう。これまでの緊急使用許可が正式承認となりましたので、ワクチン接種を必須とする動きが更に加速するものと思われます。(参考:Newsletter#41 - 多くの企業でワクチン接種を義務化)同様に追加接種の動きも加速しそうな雰囲気ですが、一方で世界的に広がるワクチン配布の不均等から、「追加接種はライフジャケットの重ね着のようなものだ。すぐ隣に溺れている人がいるのに!!」とWHOが声明を出したこともあり、これを契機にワクチン配布への倫理的議論が再燃するのではないでしょうか。
このワクチンの正式名称は「Comirnaty(コミュィナティ)」だそうです。もちろん造語でして、①コミュニティを表す“co-”、②mRNAを表す“mirna”、③免疫-immunityを表す“-ty”、の3つの意味を持つそうなのですが、どうやらネット界隈ではこのネーミングは不評なようです。
![Twitter avatar for @cbouzy](https://substackcdn.com/image/twitter_name/w_96/cbouzy.jpg)
因みにモデルナ製ワクチンの名称は「Spikevax(スパイクバックス)」だそうです。何だかとても強そうな名前ですね。
バイデン大統領が情報セキュリティ会議を主催、企業/教育Topが一堂に
コロニアル・パイプライン社へのランサムウェア攻撃やT-mobileのハッキング被害など、今年に入り大型のセキュリティ侵害事例が多数発生しています。エネルギーや通信等、米国内の多くの重要インフラは民間企業により運営されているため各企業での対策が急務となっています。このような背景もあり、今週水曜にホワイトハウスにて情報セキュリティに関連するラウンドテーブルが開催されました。米大統領より各民間企業へ、サイバーセキュリティへの自助努力が要請されたようです。以下に各企業の主要な取り組みをピックアップしてみました。
GoogleとIBMは数万人規模のセキュリティ専門家の育成を発表、関連する50万人の新たな雇用が創出されると予測
Google、100億ドルの予算をサイバーセキュリティへ
IBM、重要インフラでも使われているバックアップソリューションを拡大
マイクロソフト、5年で200億ドルをサイバーセキュリティに拠出、1.5億ドルを政府のセキュリティ対策へと確約
Amazonのcloud computing部門、年間100ドル以上使う顧客向けに無料で多要素認証ディバイスを提供
Apple、サプライチェーン全体(全米で9000社以上)のセキュリティ向上に向け、多要素認証とロギング強化を実施
保険業界、顧客のセキュリティ対策にインセンティブを
テキサス大学等の教育機関、新たなサイバーセキュリティ向けプログラムを発表
また会議では、シートベルトやエアバックにある品質安全標準の考え方を各業界の情報セキュリティに導入すべき、との意見もあったようです。バイデン大統領がサイバーセキュリティを「国家安全保障上のコア課題」と定義したこともあり、業界跨ぎなFramework検討が加速するのではと感じます。
世界最大サイズのチップにより、人間の頭脳に匹敵するAIモデルが作られる??
Cerebras Systems社が世界最大サイズのチップをリリースしました。このチップには46,225mmシリコンが2.6兆個、AI向けにカスタマイズされたコアが85万個搭載されており、192までクラスター可能なので最大で1億6200万コアのシステムを組むことが出来ます。何だか凄すぎてピンとこないのですが、人間の頭脳にも匹敵するAIモデルを120兆のパラメータで動かすことが出来るとのことです。(人間の頭脳は100兆のシナプスを持ちますので、人間を超えたとも言えるそうです。)一般的なGPUを使ったクラスターでは遅延とメモリ帯域の問題で、1兆のパラメータが最大と言われています。そのため、このチップではこれ迄の物理インフラの限界を大きく超えた環境でAIを試せるのかもしれません。特にNLP(自然言語処理)のような、パラメータが多いほどに良い結果が出るAIモデルにて期待出来そうです。当面は軍事機関や情報機関での利用となるようですが、将来、このようなチップが一般的になるとすると、これ迄は難しかった「人間界の常識」を理解し、時に忖度さえもしてくれる対話型のAIアシストエージェントが登場したりして、我々の生活も大きく変わるかもですね。
アフガニスタン情勢がSNS各社に難しい選択を迫る
情勢不安が伝えられるアフガニスタンですが、今後、SNS各社は難しい選択を迫られることとなりそうです。それは、アフガニスタンを掌握したと伝えられているタリバン勢力に対するSNS各社の対応方針です。タリバンとしては自身が正当な政権であるとアピールするため各SNSを積極的に使いたいと考えるでしょうが、この対応が難しいわけです。現状、SNS各社はこれまでのスタンスを崩していないようです。
Facebook - 従来通り危険な組織としてタリバン関連アカウントの停止、投稿削除の継続を発表
YouTube - タリバンへの米国制裁措置を引用し、アカウントも削除すると発表
Twitter - 全面的な禁止はないものの、悪意のある表現や暴力の扇動は禁止すると発表
今やSNSは巨大な影響力を持つようになりましたが、その巨大さ故に、時に難しい選択に迫れれてきました。今年の初め、SNS各社はアメリカ現職大統領のアカウント停止を決断しました。一方、Twitterはインド政府からの求めに応じてアカウント制限を実施し、Facebookはミャンマー軍部の民族浄化に伴うFacebook利用に対しアカウント停止等の積極関与しない決断をしています。そして、いずれの決断も大きな影響をもたらしました。
世界を変えたいと思いそれを作り、実際にそれが出来るようになったのだが、その巨大過ぎるツールのルールを自身で決めなくてはならない、このプレッシャーたるや・・、想像を絶しますよね。トランプさんのアカウント停止の時に話題となりましたが、SNS各社へのコントロール議論は、こう言った意味でも急務なのかもしれません。
12歳の少年がNFTで40万ドルを稼ぐ(2ヶ月で)
12歳の少年が自分で作ったクジラのキャラクタアートに自身でNFT(Non-fungible token)を組み込んで販売し、2ヶ月で約40万ドルを稼いだとのことです。BlockchainをベースにするNFTは、所謂、クリエーターエコノミーを加速しており、コンテンツ作成者が正当な報酬を獲得出来る仕組みが徐々に認知されてきました。コロナでワークフォースが分散化しデジタル化が進みましたが、このような各個人の成果をデジタルに明確化する仕組みは、アートの世界に留まらず、もしかするとサラリーマン社会にも波及するかもですね。
話を元に戻しますと、ロンドン在住のベンジャミンくんは水泳とテコンドーが好きな普通な子供ですが、一方で5歳からWeb開発を始め今やJavascriptや他言語のスキルを持っている凄いお子様でもあります。「BlockchainでNFTの所有者を簡単に受け渡すことが出来るので、NFTに夢中になったよ。」とCNBCに語っていました。NFTのポテンシャルを理解し、それを直ぐに行動に起こせるところが凄いです。日に日に行動を起こすのが遅くなる40代の私は、彼から多くを学びました。ありがとう、ベンジャミンくん。
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